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星野一義氏の思い出10

星野は2002年のニスモフェスティバルで引退セレモニーが開催された。

また、このタイミングに合わせて昔のシルエット・フォーミュラーのニチラ・シルビアやあのグループAで伝説のマシンとなったカルソニック・スカイラインR32GT-Rが復刻された。

今まで現存するカルソニック・スカイラインR32GT-Rはレプリカであった。
それは、グループA終了にともない次のカテゴリーになるJTCのマシン改造されたからグループAを戦ったカルソニック・スカイラインそのものは現存していない。

今回は、レース用に保管されていたニューボディを使って新たに組まれた新車であった。
正直、R32GT-Rのニューボディが残っていたのには驚いた!


また、JSPCで戦いル・マンにもデイトナ24時間耐久レースで優勝したニッサングループCカーやル・マンで3位表彰台を獲得したニッサンR390GT1、更にニッサンの大森にいた下積み時代に走ったニッサンチェリーも用意された。

星野はグループA時代のカルソニック・スカイラインR32GT-Rを長谷見のユニシア・ジェックススカイラインと高橋国光によるアドバン・タイサンスカイラインによる3台の走行時に、1人限界アタックをする。

長谷見と国光のマシンは当時の車両を保管していたから、レーシングスピードでの走行は出来ない状態であった。

オンボードカメラから拾った星野の音声からは長年腰痛に苦しめられた痛さを我慢する唸り声をあげていた。

今ファンに見せられる最高の走り。
1人独走は星野パターンでもあったから、正に伝説のカルソニック・スカイラインが復活。
組み立てとメンテナンスは当時と同じRS中春が受け持った。

また、カルソニック・スカイラインと言えば星野が最後に乗ったVQエンジンに載せ変えられたR34GT-Rでもカテゴリー混走レースでトップを快走していた。
ニスモフェスティバルのDVDを見るとVQエンジン搭載のR34GT-Rをとてもスムーズに運転している。
外から見るアグレッシブな走りとは違いシーケンシャルシフトの操作はとても優しく、アクセルやブレーキもスムーズだ。
他のドライバーはいかにもレーシングカーをドライブしているように、シーケンシャルシフトをパンパンと入れているのとは対照的。


星野が乗った全ての車両に思い出がありファンにも思い入れがある。

全てを書けないので、下記のマシンにスポットライトを浴びせよう。

F-3000(F-Nippon)で最後に乗ったマシン。
ローラT96-52
ニスモフェスティバルでありながらニッサンのシャシーでもエンジンも搭載されていない。

しかし、当時の車両にはニスモのステッカーが貼られている。
それは、車体の勉強の一環としてニスモのメカニックが数名メンテナンスに携わっていたから。

今回のレストアは当時のメンテナンス会社クエストの代表五十嵐協二氏を中心に組み立てられた。

五十嵐は若い駆け出しの星野をメカニックとして最も長く携わっていた人物で晩年のフォーミュラーは五十嵐の興したクエスト社がメンテナンスをしていたからだ。

そして、ボディカラーは当時のものとは別のキャビンカラーをまとった。

聞いた話しでは、星野にとってキャビンカラーは円熟期に結果を出した思い出がありJTも快諾してくれたと言う。

星野自身はもう5年乗っていないし、トップフォーミュラーともなればタイヤの温度が上がらなければまともに走らないし、簡単に流して走るわけにもいかない。

走るからには自分の勇姿を見せたい。

実際、このマシンは星野引退後に黒澤琢弥がドライブしているが、もう数年間走らせていない。

組み上がったマシンは一度、他のドライバーによってチェック走行がなされた。

星野はニスモフェスティバルで富士スピードウェイに入ってからこのローラをドライブした。

この練習走行はいかにも星野らしい走行だった。

それは、一般的なドライバーはここを過ぎたらスピンするなど手前で判断するが、昔から星野はここを過ぎてスピンするのを確認する。

そう、この練習走行でもシャシー、タイヤとエンジンは完全な新車ではないがフォーミュラーマシンだけに、この確認が必要だったのだろう。

フェスティバル当日は雨に見舞われたりしたが、星野の勇姿をファンは見ることが出来たし、最後のマシンを組み立てた五十嵐との写真撮影も行われた。

最後のセレモニーでは万感の思いから言葉に詰まったが、その全てをファンは忘れない。
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by urochiiko | 2014-11-30 05:11 | 日記


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