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私の好きな俳優 八名信夫氏③

初めての記者会見

昭和58年3月吉日。
池袋西武デパートの劇場。
金屏風の前に、何故か緊張気味の悪役俳優12名。
それが、俺達がグループとして初めて世に出た日だった。
名前はまだない。

「悪役だけで芝居をする。
 それなら今迄やったことのない記者会見というものをやってみたい。
 スターや映画会社がやるように、ホテルかどこかで金屏風でも前にして。
 マスコミに来てもらって」
そんな俺の思いが実現したんだ。

池袋西武が、俺達の主旨に賛同して無料で劇場を提供して下さった。
今でもすごいが、当時の西武と言ったら、ファッションや情報の先駆者的存在。
特に池袋西武は、日本一の広さと豊富な品揃え、
あらゆる情報、メッセージ、文化の発進地としてみんなの憧れのデパートだった。
そのデパートが俺達に手を貸してくれた。
嬉しかったネ。
時代の先端を行く場所でスタートを切れるとは。
あの頃は、どこでも心ある人達がいたってことダナ。

これ又、心あるカメラマン氏が、俺の考えていたように俺達を撮ってくれた。
その写真を又親切な中野の東京天然色という写真屋さんが、
デッカイパネルにして劇場のロビー中に飾ってくれた。
「大人の、スマートな悪役達」
「存在感のある、シャレタ悪役達」
見るからにゴッツイ、強烈な悪役も良い。
が、アルパッチーノやロバート・デニーロ、
クールでインテリ風の悪はもっと迫力と存在感がある。

「金屏風の前での記者会見を仲間達にやらせてやりたい」
記者会見はその気持ちだけだったから、
実は10人位の高校生にこういう質問をして欲しいと頼んで座って貰っていた。
誰もいなかったら格好悪いからナ。
(俺達を良い気分にさせてやろうと、スタッフが仕込んでいたらしい)
俺達12名は、少し緊張気味にステージに登場した。
35歳の丹古母鬼馬二から70歳の岩城力也氏迄、それぞれにオシャレして。
ところが、客席から沢山のフラッシュがたかれて、
テレビのライトが光っているではないか!
エーッ?
新聞社という新聞社、雑誌週刊誌、テレビ局、ワイドショー、
マスコミが取材に来てくれていた!
しかも、各社デスククラスのベテランの人達ばかりだった。
「悪役俳優として20年から40年のキャリアを持つコイツら。
 映画やテレビの脇で頑張って来たこの連中が集まって、
 今迄やったことのないことをやろうとしている。
 面白いじゃないか。応援にいってやろう」
そう思って下さったのか、次々と質問が飛びかった。
結局、サクラで頼んでいた高校生は
ほとんど予定の質問は出来なかった・・・ハハハ。

マスコミも今と違っていたからナ。
ワイドショーだって違っていた。
スキャンダルがなくても、男女関係のくっついた離れたがなくても、
悪メダチする奴がいなくても、取材に来て大きく取りあげてくれた。
俳優は俳優の仕事をしているところをとりあげてくれた。
当時、テレビは子供の歌手に占領され始めていた。
アイドル時代の始まりだった。


私の好きな俳優 八名信夫氏③_a0293308_1834320.jpg

by urochiiko | 2013-06-05 07:40 | 日記


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