私の好きな俳優 八名信夫氏④

(前回の続き)
そんなこともあって、ベテランの担当者の方々は俺達をとりあげてくれたのかも知れない。
翌朝、スポーツ紙、新聞の芸能欄全面あるいはトップの記事として、
俺達の記者会見が紹介されていた。
“悪役商会”登場!
と全員の写真入りで素晴らしい記事にしてもらっていた。
そう! 記者会見の時、俺達は「悪役商会」とマスコミに名乗ったのだ。
悪役を紹介するのだから、悪役商会にした。
これが悪役商会誕生の話だ。

悪役商会初めてのバラエティは『今夜は最高』!

記事を見て、真っ先に声を掛けてくれたのが、
NTVで最高の人気番組「今夜は最高」だった。
司会はタモリさん。ドラマ仕立てのところは、やくざの襲名披露の場面。
まあこれは俺等には得意なシーン。ところが、歌となると・・・
「GOD FATHER 愛のテーマ」だったかな。
みんな、ガチガチになって歌っていた。
タモリさん、作家の高平哲郎さん、そしてプロデューサーの五味さん、
皆さん一生懸命に応援して下さった。
今迄やったことのない仕事だったが、
嬉しいのと緊張しているのと、みんないきいきしていた。

「今迄やったことのない仕事をやろう」の一つが、ボランティア。

「俺達悪役だから、画面でいっつも悪いことをしている。
 たまには良いこともしたいネ」
お年寄りのところと子供達、刑務所にもボランティアをしたいと申し込んだ。
最初は東京下町の老人ホームから依頼があった。
「よし、行こう!」
バスに乗ってホームに着いた。
すると園長さんが飛んで来て
「すいません、まだ入らないで下さい! 慣れる迄待って下さい」
「???」

悪役商会をつくったばかりの時は、皆悪役俳優バリバリ。
見るからに悪役で、泣く子はもっと引き付けを起こしそうな位恐く見えた。
お年寄りはびっくりしてしまいそうだ。
園長先生の心配ももっともだ。
「まわりから少しずつせめてもらえませんか? まず掃除」
「よしやろう」
4階建てのビルの窓ガラスを、水を掛けながら掃除しはじめた。
12名の悪役たちが、パンツ一丁になって窓ガラス洗いを真剣にやった。
「こんなこと、うちでもやらねえよな」
掃除をして汗をかいているうちに、みんな結構良い気持ちになってきた。
そして小一時間もたった頃、部屋の中のお年寄りが手を振っているのに気がついた。
ベッドの上から小さく手を振っている。
俺達が窓を洗っていると、手を振っているように見えたんだろうな。
手を振り返してあげた。
「みなさん、今度は中にお入り下さい」園長さんが言いに来た。
「テレビは何をみてますか?」
「水戸黄門」
「よしいこう」テレビのワンシーンをやってあげたり、一緒に歌ったり。
帰りの車のみんなは、実に良い顔をしている。こんなに良い顔になるんなら、
又ボランティアに来よう! そう思った。

あれからおよそ20年、ボランティアはずっと続けている。

(おわり)
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by urochiiko | 2013-06-06 07:40 | 日記


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